派遣社員のメリットとデメリットを紹介!正社員やパートとの違いも解説
派遣社員は決まった時間だけ働けるので、仕事もプライベートも両立させたい人におすすめの働き方です。
しかし、派遣社員には「派遣はやめたほうがいい」「派遣社員はデメリットしかない」などの声もあります。派遣社員という働き方を選ぼうか、迷っている人もいるでしょう。
メリットとデメリットを把握しておけば、トラブルを防ぎながら派遣社員として長く働けます。
そこでこの記事では、派遣社員のメリットとデメリットをまとめました。派遣社員のメリットを上手く活かしつつ、デメリットに注意して勤務しましょう。
また、派遣社員と正社員、パートとの違いについても紹介します。派遣社員として働く前に、派遣とはどういった働き方なのかチェックしておきましょう。
次のようなお悩みや疑問をお持ちの方は必見ですよ。
- 派遣社員に興味があるけど実際どうなんだろう?
- 派遣社員として働いた時のデメリットが知りたい!
- 派遣社員として働きたいけど、正社員やパートとの違いは何?
年齢や最終学歴から分かる派遣社員の実態【高卒・40代】の割合が最も高い
実際にどういった方が派遣社員として働いているのでしょうか。厚生労働省が行った調査では、派遣社員の割合として40代高卒が一番多いという結果が出ています。
詳細な割合を確認してみましょう。
年代別だと派遣社員は40代がもっとも多い
厚生労働省が実施した派遣労働者実態調査によると、派遣社員として働く方の年齢は以下の通りでした。
20〜24歳 | 3.5% |
---|---|
25〜29歳 | 9.1% |
30〜34歳 | 9.5% |
35〜39歳 | 14.0% |
40〜44歳 | 13.5% |
45〜49歳 | 15.8% |
50〜54歳 | 15.8% |
年代別では派遣で働くのは40代の方が多く、調査した年代全体で約30%は40代が占めています。45〜49歳、50~54 歳までの方が15.8%と最多でした。
50代後半以上になると減少傾向にあり、派遣社員という働き方を選ぶのは40代がピークといえます。
派遣社員の最終学歴は高卒が約4割を占めている
厚生労働省の行った調査によれば、派遣社員の方の最終学歴は以下の結果でした。
中卒 | 4.1% |
---|---|
高卒 | 40.9% |
専修学校修了 | 14.9% |
高専・短大卒 | 11.9% |
大卒 | 26.8% |
大学院修了 | 1.3% |
※在学中と最終学歴不明が、それぞれ0.5%、0.3%。
派遣社員の最終学歴でもっとも多かったのは高卒で、全体の40.9%を占めています。次に多かったのは大卒です。
なお、学校を卒業して初めての就職先が派遣社員という方は、9.3%でした。なお、正社員は72.4%で、学校卒業後の働き方として派遣社員を選ぶ方は少数といえます。
正社員と派遣社員はそれぞれ条件が異なる!待遇や勤務内容の違い
正社員と派遣社員のどっちがいいのか迷っている方のために、待遇や勤務時間などの違いをまとめました。
派遣社員 | 正社員 | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 勤務企業 |
勤務時間 | 自分で決められる | 企業側が決める |
勤務期間 | 3ヶ月が主 | 無期雇用 |
給料 | 時給制 | 月給制 |
福利厚生 | 派遣元の制度利用が基本 | 勤務企業の制度を利用 |
詳しく見ていきましょう。
派遣社員は「派遣会社」が雇用主、正社員は勤務先が雇用主になる
派遣社員として働きたい場合、まずは派遣会社に登録しなければなりません。派遣先が決定すると、派遣会社と雇用契約を結びます。
正社員や契約社員は、企業と雇用契約を結んでいます。つまり、派遣社員の雇用主は派遣会社、正社員の雇用主は企業です。
正社員では社会保険をはじめとする手続きは、企業側が行います。一方、派遣社員の社会保険などの手続きは、派遣会社が行っています。
派遣社員は希望する時間だけ働けるのが大きなメリット
派遣社員は以下のように、自分が希望する時間だけ働けます。
- 週に3日、8時から16時まで
- 土日を含む週5日で、午前中のみ
など
働きたい時間帯、週の勤務日数を自分で決められるのが派遣社員の大きな特徴です。
正社員は、勤務時間を自分では決められません。出勤や退勤の時間は企業側が決め、さらにはフルタイム出勤が多いのも大きな特徴です。
育児や介護など、家庭でも働かなければいけない人にとっては、正社員でフルタイム勤務は難しいと言えそうですね。
派遣社員は3ヶ月や半年など勤務する期間が決まっている
派遣社員は勤務時間だけではなく、勤務期間も決まっています。「3ヶ月」「半年」など一定の期間だけ派遣先で働き、派遣先と派遣社員側で特に問題なければ、契約更新を行うのが一般的です。
契約期間は3ヶ月が多く、期間終了30日前までに派遣会社が派遣先と派遣社員に契約更新するか確認します。契約更新の意思があれば、3ヶ月ごとに契約更新しながら働き続けることが可能です。
正社員は無期雇用で、基本的には企業が設定した定年まで働き続けられます。
正社員は月給制で収入が安定、派遣社員は時給制
派遣社員の給料は、時給制です。働いた時間分だけ給料が支払われるため、月によって収入が異なります。
一方、正社員の大半は月給制です。収入が安定しており、ゴールデンウィークや年末年始休暇がある月でも収入が変わりません。収入については、正社員の方が安心できますね。
また、正社員は個人の評価、企業の業績などの応じて、ボーナスが支給されます。ただし、企業によってはボーナスがなく、正社員なら必ずボーナスがもらえるとは限りません。
なお、正社員と派遣社員の業務内容が同等であれば待遇も同じにする「派遣先均等・均衡方式」を採用している企業で働くと、派遣社員もボーナスをもらえる可能性があります。
福利厚生は派遣社員よりも正社員の方が比較的充実している
福利厚生は、正社員の方が充実しています。企業ごとに違うものの、次のような福利厚生があります。
- 交通費
- 住宅手当や家賃補助
- 資格手当
- 宿泊施設やテーマパークなどの割引
など
派遣社員は派遣先の福利厚生が適用されず、派遣会社が用意した福利厚生を利用するのが一般的でした。
正社員と派遣社員の待遇の差を解消するため、2020年4月から「同一労働同一賃金」の制度が導入されています。原則として、派遣社員も派遣先と同じような福利厚生を利用できるように、待遇が改善されました。
たとえば、求人ジョブズでは「待遇あり」に条件を設定し、派遣の求人を探せます。「寮費無料」「入社特典あり」など、待遇がある派遣先をすぐに探せるので、確認してみましょう。
どちらも時給制だけど何が違う?派遣社員とパートの違い
派遣社員とパートはどちらも時給制ですが、いくつか違う点があります。
ここからは、派遣社員とパートの違いについて解説するので、どちらを選ぶか迷っている方は参考にしてみてください。
【派遣社員とパートの大きな違い】
- 雇用主が異なる
- 辞めた後のサポートの有無
- 時給が異なる
派遣社員とパートでは雇用主が異なっている
パートも正社員と同様に、企業と直接雇用契約を結んでいます。パートの場合は就業先の指示に従って働き、給料は就業先から支払われるのが特徴です。
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、あらかじめ契約で勤務時間や業務を決めます。給料は派遣会社から支払われます。
派遣社員は派遣会社からのサポートがある
パートや正社員で働いていた職場を辞めた際、次の職場は自分で探さなければなりません。
一方、派遣社員が派遣先での契約を終えた場合は、派遣会社が次の職場を紹介してくれます。スキルや経験などの応じて、派遣会社の担当者が派遣先を提案します。
また、派遣社員は派遣先で不安や悩みが生じたときに、派遣会社の担当者に相談することが可能です。スキル不足が気になる方のために、ビジネス研修やパソコン研修を用意している派遣会社もあります。
派遣社員は派遣会社によるサポートで、就業中も就業後も安心して働けるでしょう。
派遣社員は同じ職場で長期間働き続けることはできない
派遣社員は有期契約が多く雇用期間が決まっている派遣とパートでは、雇用期間にも違いがあります。
パートの場合は、同じ職場で長期に渡ってパートとして働き続けることができます。その背景にあるのが、「無期転換ルール」です。
無期転換ルールとは?
無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、[有期労働契約が5年を超えて更新された場合]、[有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込み]により、[期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換]されるルールのことです。有期契約労働者が使用者(企業)に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立します(使用者は断ることができません。)。
では派遣社員の場合はどうかというと、そうはいきません。
派遣社員の場合、「同じ職場で働けるのは原則として最大3年」と「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、通称「労働者派遣法」によって定められています。
第四十条の二 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。(省略)
2 前項の派遣可能期間(以下「派遣可能期間」という。)は、三年とする。
派遣社員の多くが「3か月」「半年」など、あらかじめ契約期間が決まっている有期契約です。契約期間が満了すれば、その派遣先企業での勤務も終了となり、継続して働きたい場合は派遣会社から別の企業を紹介してもらうことになります。
また、派遣元で無期雇用されている派遣労働者や60歳以上の派遣労働者などは期間制限の対象外となり、労働者派遣法の3年ルールは適用されません。
派遣社員には即戦力が求められる傾向がある
仕事内容や求められるスキルにおいても、派遣とパートでは違いがあります。
パートの場合、特別な知識やスキルを求められることは決して多くありません。
「未経験歓迎」としている求人もあるので、経験や能力に自信がない方でもチャレンジしやすいでしょう。
実際の仕事内容としても比較的簡単なものが多く、「正社員の指示を仰ぎながら業務を進める」「マニュアルに沿って対応する」といった形が一般的です。企業から求められる能力もそれほど高くはないと言えるでしょう。
一方、派遣社員の場合、企業からは即戦力が求められます。
企業が派遣会社に人材派遣を依頼する時点で、「この業務を正確かつ効率的に遂行できる人がほしい」と業務範囲と必要なスキルが定まっています。
これらのことから、パートに比べて派遣社員には求められるスキルが高い傾向にあると言えます。
パートよりも派遣社員の方が時給が高い
派遣社員もパートも、時給で給料が決められるのが一般的です。勤務した時間分だけ収入を得られます。
ただし、パートよりも派遣社員の方が、時給は高く設定されています。パートは未経験OKの業務が多く、時給はあまり高くありません。
短期間であればパートと派遣社員に給料の差はあまりないですが、半年や1年など中長期的な期間で比較すると、大きな差が生じます。
派遣社員と準委任契約では何が違う?契約や責任の差
準委任契約は、特定の業務を任せると定めている契約を指します。成果物や結果にもし不備があっても、修正などは求められません。
派遣も準委任契約のように、決められた範囲の業務を行います。
では、派遣社員と準委任契約において何が違うのか、解説します。
【派遣社員と準委任契約の大きな違い】
- 指揮命令権が異なる
- 業務に携わる時期が異なる
準委任契約では自社の責任者が指揮命令権を持つ
準委任契約における指揮命令者は、自社の責任者です。準委任契約で働く場合は裁量の幅が広いので、自分の裁量で自由にスケジュールを決められます。
一方、派遣社員の指揮命令者は、派遣先の担当者です。派遣先の指揮命令下に置かれ、派遣先企業の指示やルール、就業規則などに従い、勤務します。
準委任契約は業務が終われば契約が解除される
準委任契約は特定の業務を行い、業務によって短時間で終わるものもあれば、長期間かかるものもあります。決められた業務を遂行するのが目的のため、期間における制限はありません。スケジュールを自分で管理し、自由に進め方を設定できます。
派遣社員では「3ヶ月」「6ヶ月」など、働く期間が定められています。依頼された業務が終わり、他に任せる業務がないとしても、期間内に契約解除はできません。
準委任契約は決められた業務を行うため、業務が終われば、契約の解除が可能です。
派遣社員として働くメリット!希望に合わせて働けるのが大きなメリット
派遣社員には、数々のメリットがあります。具体的にどんなメリットがあるのか、以下で紹介します。
【派遣社員のメリット】
- ライフスタイルに合わせて選べる
- 様々な職種の仕事がある
- 職場の悩みを相談できる
- 未経験でもチャレンジできる
派遣社員は自分のライフスタイルに合った勤務時間や勤務地を選べる
派遣社員は勤務時間や勤務日数、勤務地、業務内容などを自分で設定できます。ライフスタイルに合った働き方ができるのは、仕事もプライベートも両立させたい人にとって大きなメリットです。
契約時に勤務する時間帯や日数を決めるので、急に残業が増えたり、休日出勤を求められたりすることはありません。よって、子育てしながら働きたい主婦の方にも、派遣で働くメリットは大いにあるといえます。
また、日本人材派遣協会が派遣という働き方を選んだ理由を調査したところ、以下の結果となりました。
働く時間や時間帯を選べるため
勤務地を選べるため
働く時期や期間を選べるため
働く時間や時期を選べる点をメリットに感じ、派遣で働いている方が多いと判断できます。
派遣社員でいろいろな業界を経験し様々な職種の仕事ができる
派遣社員は、いろいろな業界や職種で働けるのもメリットです。正社員として採用されるのが難しい、以下のような業界や職種の求人を扱う派遣会社もあります。
- 大手のマスコミ
- ファッション業界
- WEBや映像などのクリエイティブ系
- 製薬や飲食に関連した研究職
こういった業界や職種は、未経験だとなかなか採用してもらえません。派遣であれば未経験OKの求人があり、派遣社員として働きながらキャリアアップを狙うことが可能です。
また、一定期間が経った後に別の派遣先を選び、さまざまな業界や職種で経験を積むこともできます。
なお、厚生労働省の派遣労働者実態調査の概況によれば、実際に派遣社員として働いているのは一般事務がもっとも多いという結果でした。次に多いのは事務用機器操作、物の製造です。
派遣会社へ仕事に関する悩みを気軽に相談できる点もメリット
正社員やパート、アルバイトの場合、仕事の悩みは職場の方に相談するケースが多いでしょう。しかし、多忙な上司や先輩に悩みを伝えられず、なかなか相談できない人もいるかもしれません。
派遣社員であれば、仕事の悩みを派遣会社の担当者に相談できます。今の派遣先で悩んでいることだけではなく、就業前や契約満了後の相談もできるので、安心です。
派遣先で何かトラブルがあった際に、派遣会社が間に入ってサポートする場合もあります。一人で悩むことなく、担当者へ気軽に相談できるのも、派遣社員のメリットです。
派遣会社には仕事についての幅広い相談ができるため、キャリアアップやスキルアップの相談にものってくれます。将来どんな仕事をしようか悩んでいる方にも、派遣社員はおすすめです。
制度をうまく活用すればスキルアップやキャリアアップを目指せる
派遣会社が用意している研修制度を上手に活用することで、スキルアップやキャリアアップを目指せるのも、派遣社員として働くメリットです。
2015年の労働者派遣法の改正によって、派遣会社には登録している派遣社員に対して、教育訓練の実施やキャリアコンサルティング窓口の整備が義務化されました。
キャリアアップ措置の実施
すべての派遣労働者は、キャリアアップを図るために、派遣元から
・段階的かつ体系的な教育訓練
・キャリア・コンサルティング(希望する場合)
を受けられます。(派遣元の義務)
特に、無期雇用派遣労働者に対しては、長期的なキャリア形成を視野に入れた教育訓練を実施することが派遣元に義務付けられます。
加えて、2020年のさらなる労働者派遣法の改正では、派遣先企業による教育訓練も義務付けられました。
教育訓練
派遣先は、派遣先の労働者に対して業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を実施する場合に、派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主が実施可能な場合を除き、派遣労働者に対してもこれを実施する等必要な措置を講じなければなりません。
このような派遣会社や派遣元企業が実施する制度や教育訓練を上手に活用することで、働きながらキャリアアップやスキルアップを図れるのは、派遣社員として働く大きな魅力と言えるでしょう。
派遣社員は未経験でもチャレンジできる仕事が多々ある
派遣社員は、さまざまな業界や職種で働くことが可能です。以下のような、仕事における悩みの解決につながります。
- 働きたい業界があるけど、未経験のため採用されない
- どんな職種が向いているのか分からない
- 自分にはどの業界が適しているのか判断できない
正社員は、経験やスキルがないと内定がもらえない場合があります。派遣には未経験OKの業界・職種の求人が多々あるため、いろんな仕事にチャレンジすることが可能です。
また、どんな業界・職種を選べば良いのか分からないときに、派遣会社の担当者に相談できるのもメリットです。これまでの経験や強みなどを考慮し、未経験OKも含めた幅広い求人から、あなたに合う仕事を提案してくれます。
給料が比較的高いため短時間で効率的に働ける
パートに比べて、派遣社員のほうが時給は高いので、短時間で効率的に働けます。
派遣社員と同じ給料をパートで得ようとすると、派遣社員よりも長時間働かなければなりません。派遣社員なら効率よく仕事ができ、子育てをしたり、学校に通ったりしながら、勤務できます。
また、派遣社員の勤務時間によっては、正社員より給料が高いケースもあります。派遣社員はボーナスがないものの、ボーナス分を考慮して時給が高い場合があるためです。
さらに、派遣社員は残業代がきちんと支払われるので、正社員に比べて給料が高いこともあります。
履歴書や職務経歴書の提出は派遣会社への登録時のみでOK
通常、新たな職場で働くとなるとその都度、履歴書や職務経歴書を提出しなければなりません。
その点、派遣社員の場合、書類を提出するのは雇用主となる「派遣会社」に登録するときのみです。
派遣で働きたい場合、まずは派遣会社への登録が必要です。その際に、履歴書や職務経歴書の提出を求められることがあります。
その場合、派遣会社は専用システムに入力された情報をもとに個人情報を確認・管理するので、別途、履歴書や職務経歴書の提出を求められることはないでしょう。
また、派遣登録後、就業先を決める際に先方との顔合わせを行いますが、その際にも履歴書や職務経歴書の提出は不要です。
労働者派遣法によって、派遣先企業が履歴書の情報を基に派遣社員の選考を行うことは「労働派遣法」で禁止されています。
第二十六条(省略)
6 労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。
これは、事前に履歴書や職務経歴書の提出を求めるという行為が「派遣労働者を特定する」という禁止事項に該当するためです。
採用活動において、履歴書や職務経歴書などの応募書類の内容は選考に大きく影響します。そうした書類を契約のたびに提出する必要がないというのは、派遣社員で働くメリットのひとつと言えるでしょう。
紹介予定派遣とは、派遣期間(最長6ヶ月)終了後、本人と派遣先企業双方合意のもとに社員となるはたらき方です。一定期間”派遣”ではたらくことで実際の仕事内容や職場を見極められ、未経験でも希望の仕事に社員として就けるチャンスがあります。また、自分だけでは探し出せなかった企業に出会え、転職活動にかかる労力や時間も節約できます。
派遣はやめたほうがいい?派遣社員で働くデメリット
派遣社員に対してはさまざまな意見があり、中には「派遣社員にはデメリットしかない」「派遣社員はメリットない」「派遣はやめたほうがいい」など、悪い印象の声もあります。
派遣社員には実際にどのようなデメリットがあるのか、紹介します。
【派遣社員のデメリット】
- 契約期間があり不安定
- 同じ職場で働けるのは最長3年
- ボーナスがない
- スキルによって給料が変わる
派遣社員の契約期間は限定されるため仕事が不安定なのが最大のデメリット
派遣社員は契約期間が決まっています。「派遣の正社員はやめとけ」といわれるのは、契約期間が理由の1つです。
派遣社員はあくまでも派遣会社の社員であって、派遣先の正社員ではありません。今の仕事を続けたくても無期雇用ではないため、契約更新されなければ契約は終了です。
契約期間が決まっていると働きやすいものの、働く期間が限定されるため、仕事が不安定な状況が続きます。原則定年まで働ける正社員のように雇用が安定していないのは、派遣社員のデメリットといえるでしょう。
なお、派遣社員も条件が当てはまれば、厚生年金保険の加入が可能です。しかし、正社員よりも年金の受給額が少ない可能性があります。
厚生年金保険の加入条件には「雇用期間2ヶ月以上」が含まれています。契約期間の短さにより、年金受給額が少なくなる可能性があることも、派遣社員のデメリットです。
派遣社員が同じ職場で働けるのは最長で3年まで
派遣社員は最長で3年まで同じ職場で働けます。必ずしも、ずっと同じ職場で働けるわけではありません。
もし3年以上同じ職場で働きたい場合には、企業と直接雇用を結ぶという選択肢があります。ただし、3年経てば絶対に直接雇用されるとは限らないため、注意が必要です。
「同じ職場でずっと働きたい」という人は、紹介予定派遣を選ぶと良いでしょう。紹介予定派遣では、直接雇用を前提として派遣先で働きます。
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派遣社員はボーナスがもらえないケースがほとんどなので要注意
ボーナス制度を設けている派遣会社もありますが、さほど多くはありません。派遣社員のほとんどは、ボーナスをもらえないのが現状です。
正社員は月給の数ヶ月分のボーナスが支給されることが多く、派遣社員の方が収入が低くなってしまうのです。派遣社員にボーナスや交通費がないことを考慮し、時給を高く設定しているところもあります。
なお、厚生労働省が行った派遣労働者の調査では、派遣会社への要望として「賃金制度の改善」を挙げている方が58.6%と半数近くいました。
派遣社員は保有スキルによって給料が大きく異なる場合もある
派遣社員の中には3,000円や4,000円など、時給が高い方もいます。時給が高い派遣先を紹介されるのは、主に専門的なスキルや経験がある方が対象です。
未経験OKの派遣先では時給が1,000円〜1,500円ほどと、比較的安く設定されています。派遣社員は、スキルや経験で給料に大きな差があるのが現状です。
ただし未経験の仕事からスタートして経験を積み、徐々にステップアップして、給料アップを目指すことも可能です。スキルや資格を身に着ければ、給料の差をデメリットに感じないでしょう。
派遣会社によって時給や福利厚生などの待遇が異なる
時給や福利厚生などの待遇は、派遣会社によって異なります。
そのため、同じ派遣先なのにも関わらず、派遣会社が異なると時給も違うというケースは少なくありません。
福利厚生の内容も同様です。派遣会社によって、派遣社員向けに用意している福利厚生は異なるので、「派遣会社に登録したものの、魅力的な福利厚生がなかった」といったことも十分にあり得るでしょう。
こうしたミスマッチを防ぐには、複数の派遣会社に登録するのがおすすめです。
実際に派遣社員として勤務する前に、時給や福利厚生などの待遇について比較検討してみると、自分によって利用しやすい派遣会社が見極められるでしょう。
業務範囲が限られているので物足りなく感じることもある
派遣社員は派遣先企業の指示に従い、業務を行います。企画の立案や、責任を求められる業務はあまり任せてもらえません。
派遣期間が終われば業務には携われないので、業務範囲はどうしても限られてしまいます。補助的な業務や比較的簡単な業務が中心のため、「自分の裁量で業務を行いたい」「大きなプロジェクトを主導で進めたい」という方には、派遣での仕事はデメリットといえます。
しかし、「業務の責任は負いたくない」「大きなストレスを溜めたくない」という方にとっては、業務範囲が限られる派遣社員にメリットを感じるでしょう。
派遣会社に登録しても希望の仕事を紹介されるとは限らない
派遣会社に登録したからといって希望する仕事ができるとは限らないことも、派遣社員として働くデメリットのひとつです。
派遣会社は、自社に登録している派遣社員のなかから、派遣先企業が求める人物像にもっとも近い人材を選出しなければなりません。
そのため、自分自身のキャリアやスキルが派遣先企業のニーズとマッチしていなければ、残念ながら仕事を紹介されることはないでしょう。
また、通勤可能なエリア内や家の近くで派遣の仕事が見つからないこともあります。
派遣会社を採用する会社は、比較的規模の大きい会社が多いです。職場が都市部や主要な駅付近に集中するケースも少なくなく、地域によっては派遣社員の募集自体が少ないところも…。
もちろん、派遣会社が保有する案件数や時期によっても異なりますが、派遣会社に登録しても希望の仕事が紹介されるとは限りません。
正社員に比べて社会的な信用が低いことをデメリットに感じる人もいる
前述した通り、派遣社員は契約期間が決まっている有期雇用であるケースが多いです。
無期雇用の正社員に比べると、有期雇用の派遣社員はどうしても安定した雇用とは言えないため、社会的な身分や信用が低い傾向にあります。
特に深刻なのが、車や住宅などの大きな買い物をするときでしょう。
普段はそれほど派遣社員として働くデメリットを感じていない方でも、こうしたタイミングで派遣社員の社会的信用の低さを実感する方もいるでしょう。
メリット・デメリットから分かった派遣社員に向いてる人の特徴
派遣社員には働きやすいというメリットがある一方で、給料や契約期間におけるデメリットもあります。
メリットとデメリットを総合的に見て、派遣に向いてる人の特徴を以下にまとめました。
さまざまな経験を積みたい人は派遣社員がおすすめ
派遣社員には、幅広い業界や職種の求人があります。いろいろな仕事にチャレンジできるので、以下のようにさまざまな経験を積みたい人には派遣社員がおすすめです。
- どの仕事が向いているか、働きながら見極めたい
- 視野を広げるために、いろんな職場で働きたい
また、多くの経験を積めば、仕事の幅がより広がります。派遣社員として複数の職場で働き、キャリアアップを狙うのも良いでしょう。
未経験の業界・職種で働いてみたい人にも派遣社員はおすすめ
派遣社員の求人の中には、未経験歓迎のものが多くあります。未経験の業界や職種に就くことも可能です。
派遣社員では特に、一般事務の業務を行っている人が多数います。事務の経験がまったくない人でも、派遣社員なら未経験OKの求人がある上、派遣会社の担当者に相談しながら働けるので安心です。
「スキルが不足していて、自分は派遣でしか働けない人」だと思っていても、未経験OKの派遣先で経験を積み、正社員になれる可能性があります。悲観的にならず、派遣先でスキルアップやキャリアアップを狙うのもおすすめです。
また、派遣社員は契約期間が決まっています。未経験の業界・職種が「自分に合っていない」と感じた場合、契約更新をしないという選択肢を選べるのもポイントです。
ライフスタイルに合わせて勤務時間や勤務日を決めたい人は派遣社員で!
派遣社員は「午前中だけ」「週に3日だけ」など、ライフスタイルに合わせて勤務時間や勤務日を決められます。
- 扶養内で働きたい
- 一定期間だけ働きたい
- Wワークで働きたい
派遣社員はこういった希望に合わせ、自分の好きな時間だけ働くことが可能です。プライベートの予定をある程度優先し、勤務時間や勤務日を決めたい人に、派遣社員は向いています。
正社員で働く際のトラブルが不安な人は派遣社員がおすすめ
派遣社員は責任を求められるような、難易度が高い業務を任されることはさほどありません。基本的に派遣社員は定められた業務を行い、正社員が指示やチェックをします。
仕事において難易度が高い業務や大きなトラブルを避けたいなら、派遣社員がおすすめです。
また、以下のようなときに、派遣社員は派遣会社へ相談できます。
- 契約にはない業務を頼まれた
- 職場でトラブルが起きた
トラブルが起きたときに、正社員は上司や先輩に相談したり、自分で対処したりしなければなりません。派遣社員は派遣会社からのサポートを受けられ、安心です。
メリット・デメリットから分かった派遣社員に向いていない人の特徴
派遣社員は、誰にでも向いているわけではありません。
メリットとデメリットから、どのような人が派遣社員に向いていないのかお伝えします。
給料を安定させたい人は派遣よりも正社員がおすすめ
派遣社員は契約期間が短いケースが多く、ボーナスがないことがデメリットです。
また、派遣社員は時給制で、勤務時間や出勤日数により月収が変動します。ある程度決まった給料を得たいなら、勤務時間や出勤日数を調整しなければなりません。
基本的に正社員は月給が決まっているため、「毎月安定した給料を得たい」と考えているなら正社員のほうが良いでしょう。
大きなプロジェクトや管理職に携わりたいなら正社員
派遣社員として働く期間は、最大3年間です。3年経つと職場から去ってしまうので、派遣社員に責任のある業務はほぼ任されません。
- 大きなプロジェクトを遂行したい
- いずれは管理職に携わりたい
こういった考えがあるなら、派遣社員は向いていません。責任のある業務に関わりたい人には、正社員をおすすめします。
派遣社員か正社員のどちらが良いか悩んでいるのであれば、将来どういった仕事をしたいのか考えてみると良いでしょう。
企業側が派遣社員を雇うメリットは人材確保がメイン
派遣という働き方は派遣社員だけではなく、派遣先の企業側にもメリットがあります。
厚生労働省が事業所に向けて行った調査では、以下を理由に派遣社員を雇っていると報告されています。
欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため
一時的・季節的な業務量の変動に対処するため
軽作業、補助的業務等を行うため
人員の確保を理由に派遣社員を雇用している事業所は、73.1%にのぼります。一時的に業務量が変わるため、派遣社員を雇っている事業所は35.8%でした。
上位2つの理由を、さらに掘り下げて解説します。
人員が不足したときに派遣社員ですぐ人材を確保できる点が強み
企業では以下のように、さまざまな状況で人材が不足します。
- 産休に入ったスタッフがいる
- 新規事業立ち上げにより、人員を増やしたい
- 短期プロジェクトのための人員が足りない
派遣会社を通してすぐに派遣社員を雇い、人材を確保できるのは、企業にとって大きなメリットです。必要なスキルや経験を持つ派遣社員をすぐに受け入れると、大きな支障をきたすことなく、業務を進められます。
一時的に必要な数の人員を派遣社員で確保できる
派遣社員は契約期間が定まっており、決まった期間だけ働けます。契約期間が決まっているのは、企業側においてもメリットです。
契約期間をあらかじめ決めておけば、業務量が増える一時期だけ、必要な数の人員を確保できます。たとえば、「一時的に顧客が増える、3月と4月の繁忙期だけ派遣社員を雇いたい」といった雇用が可能です。
また、派遣先企業の業務量が自分のスキルに合わなければ、派遣社員は契約更新を断れます。メンタルの負担なく退職できるのは、派遣社員側にとってもメリットといえるでしょう。
企業側が派遣社員を雇うデメリットは育成コストと業務効率
企業側が派遣社員を雇う際、デメリットもあります。どんなデメリットがあるのか、見てみましょう。
派遣社員が契約更新しないために業務に支障をきたす可能性がある
派遣社員を雇う期間には制限があり、原則として最長3年までしか同じ派遣社員を受け入れられません。契約期間が終われば、また他の派遣社員を雇う必要があります。
派遣社員が次回の契約更新を希望しないことも考えられるため、派遣社員に頼む仕事はある程度の工夫が必要になるでしょう。
特に「派遣社員以外、その業務内容を知らない」といった事態は避けなければなりません。派遣社員が退職しても業務を滞りなく行えるように、派遣社員の契約期間中は次のような工夫が必要です。
- マニュアルの作成を依頼する
- 定期的に情報共有する
もし派遣社員が無期雇用契約を結んでいれば、最長3年のルールは除外され、3年以上勤務が可能です。
企業側が派遣社員を育成するためのコストがかかる
企業側は必要な人材を確保するため、必要なスキルや経験のある派遣社員を雇います。スキルや経験があるとはいえ、育成コストがまったくかからないとは限りません。
業務内容は企業によって違うので、求めるスキルや経験がある派遣社員を雇ったとしても、業務内容の説明はどうしても必要です。
業務に欠かせない研修は、派遣社員にも実施しなければなりません。自社で働く労働者と同様に、派遣社員にもある程度の育成コストはかかります。
派遣社員の業務のうち、禁止されている業務がある
一部の業務では派遣が禁止されており、派遣禁止に該当する企業にはデメリットといえます。以下の業務では、派遣サービスを利用できません。
- 建設業務
- 港湾運送業務
- 警備業務
- 病院や医療関連施設での医療関連業務
- 弁理士や税理士などの士業
ただし、一部の業務では派遣が認められています。建設業務を例に挙げると、建設現場における事務なら派遣社員を雇用することが可能です。
派遣会社を利用・登録するときのポイントを紹介!複数登録もおすすめ
派遣社員として働きたい場合、派遣会社への登録が必須です。
派遣会社を利用・登録するときのポイントを紹介するので、派遣社員を検討中の方はチェックしてみてください。
派遣社員の求人を探すなら、複数の派遣会社に登録するのがおすすめ
派遣会社に登録しても、なかなか求人を紹介してくれないケースもあるので、派遣会社は複数登録しておきましょう。
派遣会社はいくつもあり、扱う求人や強みのある業界など、派遣会社によって特徴はさまざまです。
また、担当者の対応も派遣会社で異なります。親身に相談にのってくれる担当者がいる一方で、契約を優先して希望しない求人を紹介する担当者もいるようです。
複数の派遣会社に登録しておけば、複数の担当者に相談できます。一方の担当者と合わないな…と感じても、もう一方の担当者に相談することができるのも嬉しいポイントです。
希望通りの求人を紹介してくれる可能性が高まるので、ぜひ複数登録を済ませておきましょう。
派遣社員として希望通りの求人を見つけるため、年齢や経験に応じた派遣会社を選ぶ
「女性の求人が多い」「高卒向けの求人が多数」など、特定の求人に強い派遣会社があります。
自分の年齢や経験に応じて、派遣会社を選ぶことも重要です。たとえば未経験の業界で派遣社員として働きたい30代の方であれば、未経験OKで30代向けの求人が多い派遣会社をおすすめします。
求人ジョブズではシニア向けの求人を特集し、50代や60代の方が応募できる求人を多数紹介しています。シニアで派遣社員を目指している方は、特集ページの求人を確かめてみると良いでしょう。
希望するキャリアアップ支援を行っている派遣会社を選ぶ
派遣法が改正され、派遣会社には「キャリアアップ形成支援制度」を設けることが義務付けられています。
キャリアアップ支援では派遣社員のスキルアップを目指し、次のような研修や支援を行っています。
- ビジネスマナー研修
- パソコン研修
- 資格取得支援
- 専門職の無料講座を開催
派遣会社の中には、高度なスキルを学べるところもあります。希望する研修や取得したい資格がある方は、希望するキャリアアップ支援を行っている派遣会社を選びましょう。
パートで働くメリット5つ!正社員や派遣よりも自由度が高いのが魅力
ここまで派遣社員としての勤務について詳しく紹介してきましたが、同じように時給制で働けるパート勤務と迷っている方もいると思います。
派遣とパートの違いについてはすでに説明しましたが、「パート勤務にも興味がある」「派遣社員として働くにはスキルやキャリアに自信がない…」という方に向けて、ここからはさらに詳しくパート勤務について解説していきます。
では、最初にパートで働くメリットのほうから見ていきましょう。
【パートのメリット】
- 自分の都合に合わせて働きやすい
- ダブルワークがしやすい
- 扶養内で働きやすい
- 求人数が多い
- 辞めやすい
パートは勤務日の自由度が高くワークライフバランスを取りやすい
派遣社員として働くメリットで「派遣社員はライフスタイルに合わせて働きやすい」と説明しましたが、自分の都合に合わせて働けるという点においては、パートのほうが自由度は高いかもしれません。
パートの場合、働く曜日や時間帯を自分のライフスタイルに合わせて選べるケースが多いです。
正社員に比べて勤務時間を調整しやすいパートはダブルワークもしやすい
前述したように、パートは自分の都合に合わせて働きやすい雇用形態です。そのため、正社員に比べてダブルワークがしやすいというメリットがあります。
曜日や時間帯の調整がうまくできれば、2つ以上の仕事を掛け持ちすることが可能です。
以下のような方にとっては、非常に大きいメリットと言えるのではないでしょうか。
- 収入を上げたい人
- 空いた時間を有効活用したい人
- さまざまな職場で働いてみたい人
ただし、企業によっては「ダブルワーク禁止」としているところもあるので注意が必要です。
トラブルを防ぐためにも、現在のパート先とこれから働きたいパート先の両方において、ダブルワークを認めているかどうか、就業規則などで確認しておきましょう。
また、就業規則では禁止していなくても、上司によってはダブルワークを快く思わない人もいるかもしれません。
不安に感じる場合は、ダブルワークを始める前に上司に相談しましょう。一言伝えておくだけでも問題が深刻化せずに済む可能性もあるので、今後も気持ち良く働いていくためにも状況に応じて対処しましょう。
短時間勤務が可能なパートなら扶養内でも働きやすい
パートで働くメリットとして、「家族の扶養内で働きやすい」ということがあげられます。
正社員としてフルタイムで働くとなると、年収が扶養の範囲内に収めるのは難しいでしょう。
派遣社員の場合も、なかには週3日からの勤務の案件もありますが、全体的にはフルタイムの求人の方が多い傾向にあります。
一方、パートの場合は働く曜日や時間帯が調整しやすいことに加えて、短時間勤務の求人も豊富です。そうした職場を選べば、社員と同等のフルタイムで働くということはほとんどないと言って良いでしょう。
「扶養範囲内で働いて税金や社会保険料の負担を抑えたい」という方は、パート勤務について検討してみることをおすすめします。
他の雇用形態に比べてパートの求人数は多く業界・職種ともに幅広い
正社員求人や派遣求人に比べると、パートの求人数は多い傾向にあり、業界・職種もさまざまです。
パートの求人には、オフィスワークもあれば体を動かす仕事もあります。多くの人と接する接客業、ひとりで黙々と作業する単純作業も豊富です。
なかには、お中元やお歳暮の時期だけ、お正月や大型連休の期間だけというように短期や単発の仕事も!
求人数が豊富で求人の幅も広ければ、豊富な選択肢のなかから自分にとって最適な仕事や働き方が見つけやすいでしょう。
パートの仕事は簡単なものが多く退職もしやすい
他の雇用形態に比べて「辞めやすい」ということも、パートで働くメリットと言えるかもしれません。
即戦力が求められる派遣に比べて、パートの仕事は経験やスキルを問われない簡単な仕事が多いです。
引き継ぎや人員補充のハードルが他の雇用形態に比べると低めの傾向にあるので、以下のような止むを得ない事情から急に退職しなければならなくなった場合でも、比較的辞めやすいと言えるでしょう。
- 結婚・出産・家族の介護や看病・引っ越しなどライフスタイルの変化
- 病気やケガなど健康上の問題
以下のように、民法では退職希望日の2週間前までに申し出れば良いことにはなっていますが、少なくとも退職の1ヶ月前には上司に退職の意思を伝えておくと、スムーズに退職を迎えることができるでしょう。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」
パートで働くデメリット5つ!派遣よりも時給が低く収入が安定しない
次に、パートで働くデメリットについて解説します。
【パートのデメリット】
- 派遣よりも時給が低い傾向にある
- 月々の収入が変動しやすい
- 自分で仕事を探す必要がある
- トラブル発生時は自分で対処しなければならない
- 福利厚生や手当が対象外の場合もある
パートは派遣社員に比べて時給が低い傾向にある
パートも派遣社員も時給制ですが、パートは派遣社員に比べて時給が低い傾向にあります。
派遣社員は即戦力としての活躍を期待される分、時給が高く設定されていることが多いです。
加えて、正社員のような大きな責任を伴う仕事を任されることもほとんどありません。
こうしたことが、他の雇用形態に比べてパートの時給が低く設定されている理由と言えるでしょう。
シフト制が多いパートは毎月の収入が変動しやすい
シフト制で働くことの多いパートは、毎月の収入が変動しやすいというデメリットもあります。
月給制が多い正社員の場合は、毎月一定の収入を得ることが可能です。
その点、パートは時給制かつシフト制が基本です。
勤務時間や勤務日数が変動することで給与も変わってしまうので、「先月はたくさん稼げたが、今月はシフトに入る時間を減らされて収入も下がった」「パート先の人員が増えたことで、以前よりもシフトに入れずに稼げなくなった」といったことも生じやすいでしょう。
パートは自分の都合に合わせて働きやすい反面、シフトに入れるかどうかで月々の収入も変わってしまうということは、パートで働くデメリットとして理解しておく必要があります。
パートの多くは自分自身で求人を探して応募しなければならない
パートは企業に直接雇用されて働くケースが多いので、パート勤務を希望する場合は、自分自身で求人を探して応募しなければなりません。
派遣で働きたい場合は、派遣会社に登録さえすれば、あとは自分のスキルやキャリアに合った仕事を派遣会社が選別して紹介してくれます。
対して、パートの場合はそうはいきません。
パートで働きたいと考えたら、まずは求人サイトや求人情報誌などをチェックするなど、求人探しから始める必要があります。
企業とのやりとり、履歴書の送付、面接の日程調整などもすべて自分自身でやらなくてはなりません。
パート先でトラブルが発生した際は自ら対処しなければならない
前述の通り、派遣会社のような企業との間に立ってくれる存在がいないパートは、職場でトラブルが発生した場合も自分自身で対処する必要があります。
派遣社員であれば、「契約内容と違う仕事をするよう強いられた」「職場でハラスメントを受けている」といったトラブルが発生した際、派遣会社に相談できます。
自分が矢面に立たなくても派遣会社の営業担当が派遣先企業と調整してくれるので、安心して就業することができるでしょう。
すべての福利厚生を受けられるとは限らない
会社は社員のためにさまざまな福利厚生を用意していますが、パート勤務では、雇用先企業のすべての福利厚生を受けられるとは限りません。
現状として、正規・非正規労働者の間にある待遇格差をなくそうという動きは、一昔前に比べて活発になっています。
実際に、2020年4月1日に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」では、同じ会社で正社員と同じように仕事をする非正規労働者に対して待遇で差別的な取り扱いをしてはならないと定められました。
パートタイム・有期雇用労働法とは?
正社員とパートタイム労働者、有期雇用労働者との不合理な待遇差を禁止するなど、パート・アルバイト・契約社員として働く方の環境を良くするための法律です。
※「パート」、「アルバイト」といった呼称の違いによらず、「パートタイム・有期雇用労働法」の対象になるのは以下の方です。
・正社員(通常の労働者)と比較して1週間の所定労働時間が短い労働者
・有期雇用(1年や3年など定めがある労働契約)で働く労働者
第8条のポイント[対象者:すべてのパートタイム・有期雇用労働者]
事業主は、その雇用するパートタイム・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、その待遇に対応する通常の労働者との待遇において、パートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者の職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲(人材活用の仕組みや運用など)、その他の事情のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。引用元:厚生労働省 都道府県労働局・労働基準監督署・ハローワーク(公共職業安定所) パートタイム・有期雇用労働法のあらまし
こうした動きがある一方で、会社によっては福利厚生の整備が十分に行き届いていないところもあります。
例えば、「通勤手当は支給されるが住宅手当は受けられない」というように、福利厚生のなかには長期的に働く正社員を対象としていて、パートは対象外とされる場合も…。
フルタイムで働けないならパートタイム派遣という新しい働き方もある
近年、注目を集めている新しい働き方が「パートタイム派遣」です。
パートタイム派遣はその名前からもわかるように、パートと派遣を組み合わせた働き方です。
そのため、派遣社員としての待遇を受けながら、「平日の午前中だけ」「週2~3日だけ」「一日4時間から」というように限られた日数や時間 (パートタイム)で働くことが可能です。
大きな違いとしてあげられるのが「雇用形態」でしょう。
パートの場合、企業と直接雇用の契約を結びますが、パートタイム派遣の雇用主は派遣会社になります。給与は派遣会社から支払われ、派遣会社が提供している福利厚生も受けることができます。
また、派遣先企業でトラブルがあった場合にも、派遣会社に相談できるので、安心して就業できるでしょう。
このようにパートと派遣のどちらのメリットも受けられるパートタイム派遣は、以下のような方におすすめです。
- 仕事と家事・育児を両立したい人
- 扶養範囲内で働きたい人
- フルタイムで働くのが難しい人
- 短時間・短日数でも時給が高い派遣の仕事がしたい人
- 派遣会社が提供する福利厚生を受けたい人
ライフスタイルに合わせた働き方をしたい方は、ぜひ一度パートタイム派遣について検討してみてはいかがでしょうか。
派遣社員のメリットもデメリットも確認したうえで派遣会社に登録しよう
派遣社員は希望する時間だけ働けるため、自分のライフスタイルに合わせて働きたい方におすすめです。「週に3日だけ」「半年だけ」など、特定の時間や期間のみ勤務できます。
また、派遣社員の契約期間が決まっているのは、企業側にとってもメリットです。必要なときに必要な数だけ人員を確保できるので、急に人員が不足したときもすぐに対応できます。
ただし派遣社員にはデメリットもあり、注意が必要です。働ける期間が決まっているため、正社員のようにずっと働けるわけではありません。派遣先が契約更新しなければ、次の職場を探す必要があります。
ストレスなく派遣社員として働き続けるためにも、何か困ったことがあれば、派遣会社の担当者に相談してみましょう。
求人ジョブズのように、職場見学を事前に行っているところもあります。職場の雰囲気を実際に確認できれば、就業前の不安が和らぐでしょう。
派遣社員のメリットだけを重視すると、トラブルが起きる可能性があります。派遣社員のデメリットも事前に理解した上で、派遣社員として勤務を始めるのがおすすめですよ。